モノクローム

あっという間に3月になってしまった。2月にブログアップしたと思ってたけどそれは1月の勘違いでした〜。
今は伊豆でこのブログを書いてるんだけど、昼頃から降り出した雨がしとしとと降り続けている。空は薄墨を流したような気配であたりの山も霞んでちょっと水墨画の世界だな。

中国では「墨に五彩あり」と言われているそうで、その墨の濃淡を楽しむのは水墨画の世界だ。
濃墨(のうぼく) ⇒ 中墨(ちゅうぼく) ⇒ 淡墨(たんぼく)、そして、その中でもごく濃い墨を焦墨(しょうぼく)、その逆で水に近いような薄い墨を清墨(せいぼく)、今日の空はもっぱら清墨に近い感じだろうか。
この黒を楽しむ文化というのは古くから中国、や日本に多いように思う。なぜ中国や日本なのかといえばそれは、和辻哲郎風にいえば「風土」がそういうモノトーンの風景を生み出しているわけで、山に霞や霧がかかり雨でもふればそれはもう水墨画の世界そのものだ。
そこに仏教の、それも禅宗のようなストイックな思想が後ろを固めれば鉄壁の墨文化が一丁上がりである。
これが「赤」や「青」だとやっぱりダメなんだろうなと思う。これはこれで綺麗なグラデーションが出来上がるんだけど墨のような奥行き感は出ないんじゃないかな。

不思議なのは何故水墨画の世界がたくさんの人を魅了するのかということで、それは例えばモノクロの写真にも通じるところがある。
ポートレートにしたってカラー写真のポートレートをモノクロにするとそこに全く違う世界が現れるし、言葉にはできない存在の説得力みたいなものが見えてくる。細部も強調されて、顔のシワとか、表情とか、その向こうにはその人の生きてきた時間さえも...。

立ち返って音楽についてモノトーンということを考えるとこれがなかなか難しい。音は「音色」という「色」の字が付いているけどまあ主観的なところもある。明るい音とか暗い音とか漠然とした表現はあるけど、あぁ、なんて綺麗な緑の音だろうとは言わない。

でも水墨画を見てなんとなくその世界を音で表現することはできそうだ。音の数をできるだけ減らして、一つの音に宇宙を見る...なんかかっこいいんじゃないw
あと30年くらい生きたら霞でも食べながら書くとしよう。
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